sohいう話

自由気ままに好きことを長く書きます

ブタが笑う

 

休日。

市役所に用事があり、それを終えるとお昼をやや回った時刻になっていた。

 

「お昼どうすっかな...」

 

駅近だからお店は多い。

よく行く油そばにするか、それとも肉を食べるか、いっそナン食べにカレー屋に行くか。

 

しかし、ここでふとある店を思い出す。

「あっ、BooBoo太朗にしよう」

 

千葉県某所にあるラーメン屋さんで、二郎系のガッツリヘビー級。

一時期よく行っていたのだが最近ご無沙汰だった。

すぐ近くだったのでお店に向かう。

ただ自分がよく行っていたときよりも人気店になっており少し並んで待つようになっていた。

お店の中まで入り、食券でラーメンを買う。

 

 

そう、ここが全ての始まりであり“過ち”だった。

 

 

何気なく(大)ラーメンを頼んでしまった。

このお店では(小)と(大)のラーメンがあるのだが、(小)ラーメンで一般的な大盛りぐらい麺の量がある。故に、だいたいどの飲食店に行こうが大盛りにする私であれ、ここは(小)を頼む選択が一番美味しくいただけるコツなのである。

 

しかし、忘れていた。見事なまでの驕り。

ラーメン二郎はもちろん、二郎インスパイア(?)系のお店において、お残しは御法度。残そうものならすぐさま切腹自害。そこで初めて思い出すのである。いかに自分が愚かでありどこに足を踏み入れているかということを。

 

そしてふと足元を見る...

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まるでこちらの心境を見透かし嘲るかごとし「7番 あたり」

「あたり!あたリ!あタリ...アタ◎$♪×△...」

両端の二匹のブタが徐々に壊れていくロボットのように話しかけてくる。

 

以前通っていた時期のことなら少なからず今よりも若いから心配はしないだろう。

「ただ、今のオレに450gの大ラーメンを食べられるのか...?」

チャーシュー2枚に野菜までトッピングされる。

 

だが俺もここでそう易々と引き下がる男ではない。

今日の来店までに社会人を2年経験して、いろんなことにおいて自らが成長している。

すぐさま脳内で「完食ブリーフィング」を実行。

 

(大)ラーメンは頼んでしまった。

店員さんにも”こいつは(大)“と認識されている。

ということはすなわち完食は絶対...。

そうなれば何が完食を阻むか、それは”野菜“である。無慈悲なまでの慈悲深いモヤシが麺に上乗せされ、モヤシ、麺、モヤシ、モヤシ、麺とチャンピオンはジャブとストレートを絶妙なタイミングとパワーで繰り出してくる。

 

つまり絶対にしなければいけないこと「野菜少なめ」※BooBoo太朗さんは野菜少なめが出来ます。

 

そんなことを考えている間も店員さんと目が合う。

「おいおい見てみろよ...ホントに食えんのか?」

「あ〜あ、食べ慣れてないのに無理しちゃって」

そう思われていないだろうか、既にお店側の篩にかけられ食べる前から裁かれているのではないか。

 

ついに緊張の瞬間が来る。

「お好みはどうされますか?」

「野菜少なめ、ニンニクマシで。」

 

スムーズに言えた。きっと悟られてはいない。呑まれるな。

 

そしてラーメンが来るのを待つこと数分。

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ついにご対面である。

相手はフロイド・メイウェザー、ラスベガスのリングに上がったジャップボクサー。

相手はコービー・ブライアント、ステープルズ・センターのホームで右ポスト1on1。

相手はリオネル・メッシカンプ・ノウでPKを与えてしまい阻止するキーパー。

 

あまりにもデカいその存在に尻込みする。

怯んだら負け、その時点で胃は縮こまり完食などもっての他。

「ゴクリ...」 生唾を飲み込む。

 

呼吸を整えて、割り箸は綺麗に割れた。

「いただきます。」

そこからは無心で食べた。自分の胃や満腹中枢を誤魔化すようにひたすらに食べ続けた。食べる手を辞めたら完食は出来ない。このときの私は焼肉ロードの劇画タッチ野原ひろしのように周りには見えていただろう。

 

 

「ごちそうさまでした。」

 

 

食べ切った...、、、

見事「完食」したのである。

最終ラウンド判定勝ち、ファウルギリギリのシュートチェック、シュートコースを読んだスーパーセーブ。

 

コップの水を飲み干し、テキーラのショットグラスごとく机に置く。

カンッ...

 

そして後腐れないように、軽い会釈をしてすばやく席を立ち、背中で答えるのである。

 

「また来るよ...」

 

店の外に出ると、まだ桜が満開だった。

そう、”ブーブー“のように綺麗なピンク色で。

 

 

※BooBoo太朗さんめちゃくちゃ美味しかったです!また食べに行きます。ご馳走様でした。