sohいう話

自由気ままに好きことを長く書きます

人志松本がすべり倒してた話

 

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こんなにもワクワクしたのはいつぶりだろう。

 

社会人になって一年が経ち、ブラックに働いてるだけあって給料は良いから割と不自由なく生活は出来てる。

基本物欲はないし、お酒と煙草と毎日の雑費だけで毎月自分が自由に使えるお金は持ち越すことが多い(貯金はしてる)

 

今月もそうだった。

また給料日が来る数日前で余裕があった。

 

「たまには無駄に使ってみるか...」

もちろん無駄とは言っても、それなりに浪費するからには何かしらのリターンが欲しい。

悪い癖で、何事にも損得を考えてしまう。

どうしようかとしばらく悩んだ末に“人生経験”を積もうと。

 

「風俗行ったことないな」

 

そこからの行動は早かった。

便利な世の中、スマホひとつで近所の評判の良いお店が数店舗炙り出される。

意識を高くしようとする当たり前の人間なら英会話、資格、ジム(意識低いから思いつかないけど)とかにお金を使いそうなもんだが、それじゃ面白くない。

なぜなら“無駄遣い”でなければならない。

 

お店はすぐ決まった。(店の名前は控えるがインドっぽい名前)

こうなれば実行するのみ。遠足前の園児のように謎の高揚と緊張でソワソワしながらその日は眠りに着いた。

 

 

今日は今月でも一番といっていいほどの快晴だった。

財布に5万円をぶち込み、誰にも悟られぬよう家を出た。

 

そのお店は僕が住んでる地域でも昔からホスト、キャバクラ、風俗などが盛んな繁華街で、小さい頃はよく母親に「あの辺は危ないから近づいちゃダメだよ」と釘を刺されていたのを思い出す。(でも地元じゃ有名な少し大きめの神社や県警が近かったりするから全部が近寄り難いわけでもない)

 

大人になって足を踏み入れてみると昼間だったせいもあってかそこまで危険な臭いはしなかった。

影を隠しているのかもしれないし、そもそも街も人を選ぶのかもしれない。

 

Googleマップに導かれながらスタスタ歩いているといよいよそれっぽい路地を曲がるよう指示される。

「ソノ先、右方向デス」

Googleマップの女性アナウスはこちらを鎮めるように冷静に道案内をしてくれる。

 

「目的地シュウヘンデス」

「ここか...」

 

着いた。ついに着いてしまった。

周りを見渡す。一回店の前をスルーする。

別に悪いことをしているわけじゃない。スッと入ればいいのだ。

だが、やはり拭えないものである。

誰にも見られていないことを確実に確認してからいざ入店した。

 

 

入店するとすぐさま50代にならないぐらいスーツで眼鏡をかけた男性が話しかけてくる。

 

「いらっしゃいませ。当店のご利用は初めてですか?」

「はい。」

「どのようにして知ってくださいました?」

「普通にスマホで調べました。」

「ありがとうございます。では早速ですがどの子にしますか?」

 

右側の壁を見ると嬢の写真が10枚ほど並んでいる。

正直どの子でもよかった。こっちは無駄遣いをしてエピソードトークになれば吉ぐらいに思っているのだから。

 

「どの子がおすすめですか?」

「そうですねぇ...、今だとこの子がすぐに行けますよ、経験は浅いんですけど一生懸命で良い子です。」

「あっ、じゃあこの子で。」

 

お店の人が言うのだからそうなのだろう。

 

「コースはどうされますか?」

金は惜しみなく使うつもりである。

「80分と110分って何が違うんですか?」

「どちらも2回戦があるのですが、単純に時間の長さですね。」

「じゃあ、110分で。」

 

そうすると番号札を渡され、待合室に案内される。呼ばれるまでしばらく待ってくれとのこと。

待合室にあるテレビにはNetflixを繋いでいるのか「人志松本のすべらない話」が垂れ流しにされていた。

 

宮川大輔の「お尻検査」の話。

以前見たことがあったが、久しぶりに見たのもあって声は堪えたが恥ずかしながら人目を憚らず笑ってしまった。

しかし同じ待合室で待っている“猛者”達はクスリともしない。

「嘘だろ、、」

あの笑いの精鋭達がスベリ倒しているのである。

 

しかし驚いている暇はなかった。

しばらくすると自分の番が来る。

待合室を出て誘導された先のエレベーターに乗ろうとしたとき、既に一人の女性が待ってくれていた。

 

「しおりです。よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。」

「身長何cmあるんですか!?」

「188です...」

「昨日来たお客さんが181cmだったんですけど、その人より大きいですね。」

 

大きいとは? 勘ぐりすぎか、、。

普段なら内心嫌気が差してる身長トークもシチュエーションで全く異なるものになる。

 

エレベーターのドアが開くと部屋に案内される。

入ってみると思っていたよりも広い。

きっと店によってグレードや諸々あるのだろうが、自分が行ったところが良いところなのかは分からない。

 

部屋の構造は真ん中を境に左側がベッド、右側が浴場になっていた。(やや浴場の方が広い)

照明は常夜灯ぐらい。タングステンのオレンジが薄暗く照らすだけ。サウナに似てる気がする。

 

「こういうお店に来るの初めてなんですよね。」

「そうなんですか?落ち着いてたから慣れてる方なのかと思いました。」

 

慣れてるわけ。悟られないようにしてるんだよ。

「ドキドキしたらトークになる」という藤井青銅イズムの下、初風俗を余すことなく楽しんでやろうと思っているだけ。

 

110分も仕事をしてくれたしおりちゃんの説明をする。

年齢は20歳で、黒髪のセミロング。身長は160cmぐらい。強いて言えばギャルだと思うが、でもいかにもではなく社交的でしっかりしてる感じ。顔は川﨑桜に似てて可愛かった。

真のギャル好きが真に好むタイプの絶妙なギャル。

 

その後の行為は割愛する。

というか書きたくもないし読みたくもないでしょ?

アダルトビデオとほぼ同じ。

お互いが服を脱いだら浴場で体を洗ってもらって、ベッドに移って本番。

めちゃくちゃ気持ちよかったです。

 

今日において一番重要なミッションは「ピロートーク」である。

この時間に5万を払いに行ってるのだから。

面白いことを求めるの一番はここである。

 

内容は本当に雑談。

自己紹介みたいな会話から趣味、仕事、ちょっと割行った話。

彼女はアイドルオタクで、乃木坂が好きらしい。

自分も好きなのでその話は少し盛り上がった。

「メンバーは誰が好きなの?」

「え?私の名前というか...」

 

ん?

 

急ななぞかけを喰らう。

 

既に賢者である。

この時の頭の回転はたぶん世界最速だった。

「え?そういうこと?」

「うん」

 

自分が推してるメンバーから源氏名を文字っていたのだ。(推す=応援する というオタク用語)

アイドルって凄いんだなと感心した。

本人が聞いて喜ぶかはさておき、自分の活動が意図せずところで影響を与えていることを知ったら驚くだろう。

 

それ以外に面白かったのは、風俗嬢同士の接触はまず無いらしい。

というのも、仕事柄なのだろう

「スタッフの人とは話すけど、店で女性同士が揉めごとにでもなったら面倒でしょ。」と彼女は言っていた。

店側の配慮というかいかに円滑に営業するかというか。。

 

その他にも社会人を一年経験して、その職場で問題があって鬱になって、そして今は夜の店で働いていると踏み込んだ話もしてくれた。

 

ただただ良い子。

本人達の感覚は置いておいても自分の体を商売道具にお金を稼ぐぐらいだから身近の知り合いよりよっぽどしっかりしてるし、稼ぎ方が特殊なだけで自立してる。そして風俗に来てるとは思えないぐらい優しいし話していて楽しい。

流石はプロ。2つも年下なのに天晴れ。

 

風俗に来る男性の気持ちは少し理解できた。

風俗に限らず毎日を生きていて誰しもが寂しいのだと思う。寂しさの埋め方は人それぞれで、こういうお店に来る人間もいる。

セラピーに近いよな、セックスセラピー。

愛は偉大なのだ。

 

110分はそれなりに長く感じた。これはネガティブな意味ではなく110分を堪能したし堪能しようと努めたからかもしれない。

店を出るとまるで自分を待っていたかのようにカンカンの太陽を浴びる。

温泉旅行から帰宅したかのような心地よさに襲われていた。昼下がりの15:00頃、最高の休日。

 

 

「松ちゃんスベってたなぁ...」

 

 

                  おわり